事例集

譲受事例

医療承継インタビュー | つちだクリニック 土田イク院長 土田浩事務長 | 事例集 | G.C FACTORY

~何度も現地に足を運んで、夢だった開業を実現。夫婦二人三脚で地元に恩返しをするクリニック~

 

案件概要
     
 クリニック名  つちだクリニック(HPはこちら) (承継前:清水クリニック)
 譲渡者  土田イク先生
 所在地  埼玉県春日部市一ノ割1726
 診療科目

(承継前クリニック)内科、呼吸器科、循環器科、小児科 
(承継後クリニック)内科、皮膚科、漢方内科

 譲渡スキーム  個人開設クリニックの事業譲渡
 担当コンサルタント  金子隆一
 案件の特徴

継承後に診療科目、診療時間、診療曜日を変更したが、
安定して地域から愛されているクリニック

 

 

はじめに

 今回は、春日部市にあるつちだクリニック様のインタビューです。
 院長先生を旦那様が事務長として支えながら運営をされています。
 継承案件の選択におけるポイントや、その後の運営についてお二方にお話しいただきました。
 これから継承を考えている先生にとって非常に参考になる内容です。ご参考ください。

 

 

Q1、最初に、クリニックを継承してよかったと思うことを教えてください。

 

事務長:一番良かったことは開業当初から経営的に安定していることです。継承にあたり、システムや運営方法を変更した部分もあるので、中にはご納得いただけない人もいたと思いますが、継承後も今まで通り、多くの患者さんがクリニックに来てくれていることは非常に良かったことです。

 

院長:私も経営の安定ですね。年齢的にも若くないので、継承の方が開業時から安定して患者さんが来てくださり、精神的にもとてもよかったです。

 

Q2、当初の選択肢として、継承ではなく、一からの新規開業は選択肢にありましたか。

 

院長:いえ、無かったです。私は自分の年齢や経営の最初の安定性などを考慮して、新規で一から始める自信がなかったです。なので最初から継承に絞って探していました。若くてやる気、体力がある先生は良いかもしれないですが、私は継承で良かったと思っています。

 

Q3、継承物件の検討の際は、何件ほど検討をしましたか。またどういった点を重視して決定しましたか。

 

院長:仲介会社は2社ほどに相談をして、案件は合計で4件ほど紹介してもらいました、そこから内見したのは2件です。重視したのは、立地、雰囲気、経営数字、値段などはもちろんですが、仲介会社や売り手様が「不信感がないこと」です。内見した二件のうち、継承しなかった方はクリニックの立地がとても良かったのですが、仲介会社との面談の際に多少ですが不信感・違和感がありました。また内見の際に実際に見てみると外観がイメージと違うと感じてしまい、結果的にお断りしました。資料に載っていた昼の写真はとても素敵でしたが、夜に現地で見てみるとイメージと異なりました。建物は、様々な時間で見るというのも大事と思います。その後、清水先生(今回譲受したクリニック)と正式に交渉を始めました。

 

Q4、開業を検討してから、実際に開業に至るまでの期間はどれくらいでしたか?

 

院長:最初に検討開始してから開業まで約1年です。清水先生との話が進みだしてからは3か月ほどで契約締結し、そこから2~3か月準備して開業しました。

 

Q5、継承から開業までで一番忙しかった時期を教えてください。

 

院長:物件を決めるまでは精神的に大変でしたが、身体的にはやはり開業直前が一番忙しかったです。勤務医をしながらの開業準備になるので、休みの日に継承前のクリニックに行って、引継ぎをしていました。勤務医であまり休みが取れない先生は全て夜に開業準備することになるので大変だと思います。

 

Q6、承継開業後に大変だったことはありますか?

 

事務長:強いて挙げると、継承する前からお勤めしていたスタッフさんが全員お辞めになったことです。ただ、今振り返ると新しい体制や仕組に変更する中でお互いにやむを得なかったと思っています。

 

院長:もちろん毎日大変ですが、何か特別にこれが大変だったということは無かったです。開業当初は、患者さんなどに「前の先生のときは○○だった」という言い方をされてしまうこともありましたが、前のクリニックと今のクリニックは違いますし、私なりに良いと思うことを続けていくうちに、こういった声も無くなっていきました。

 

Q7、継承後にクリニックの仕組みや体制で変更したことを教えてください。

 

事務長:大きく変更したのは診療の曜日と時間です。始めに診療曜日を変更しました。

その結果、継承前は診療日であった日曜日に来院してしまう方が継承後1~2年の間はいました。そういった際には、診療日時のカードをお渡しして「また明日お越し頂けますか?」とお一人お一人丁寧にお断りしました。

 

院長:逆にこれまで診療をしていなかった水曜日を新たに診療日にしました。当然、最初は患者数が少なかったですが、私とゆっくり話をしたいとお考えの患者さんに「水曜日ならゆっくり話せますよ」と水曜日に来てもらえるようにお願いしていました。これを続けていき、今では他の曜日と同じくらい忙しいです。

 

事務長:また、診療時間も継承前よりも短く変更しました。これも最初は間違えてしまう方もいましたが、心配していた患者数の減少はありませんでした。

 

事務長:仕組みという面では、予約の方法を順番予約から時間予約に変更しました。順番予約の時は、朝一番と診療終了間際に患者さんが集中して来院してしまい、待合室が混雑していました。その状態では、一人一人を丁寧に診察することができなくなってしまいますし、待ち時間も長くなってしまいます。それで予約システムを入れて30分ごとに4人ずつの時間帯予約にしました。ご高齢の方はスマートフォンやパソコンが苦手な人もいますので、そういう方は窓口でこちらが予約をしています。また、定期的に来院される患者さんは診察終わりに次の予約も取るようにしているので、ご高齢の方にとっても予約に対する抵抗感が少ないと思っています。

 

Q8、継承後から今までの患者数推移や割合について教えてください。

 

事務長:継承による患者数の減少は少なく、多くの方にそのままご来院いただいております。また、診療科目を変更したことで、内科と皮膚科で繁忙期がずれていることもあり、継承前より患者さんは増えています。加えて、時間帯予約を始めてから、曜日ごとの患者数も安定しています。現在は9割くらいが予約をされて来院しています。また承継してから毎年2500名ずつくらい新患が増加しています。

 

院長:はい。そうですね。継承したことで、前のクリニック時代から来院してくれる患者さんがいますし、診療科目を変更したり、予約システムを入れたことで、閑散期がほぼ無く、一日の患者数も安定しているので、余裕をもって診療することができています。ちなみに、継承後新たに始めた皮膚科ですが、今では患者数の3分の1を皮膚科が占めています。

 

Q9、夫婦で開業する際、旦那さんが仕事を辞めて事務長になるのはお勧めですか?

 

事務長:当院の場合は、最初から私が事務長として一緒にやりましたが、当時は会社を辞めるか悩みました。自分が定年まで働いた場合の所得の予測と、事務長になった場合の所得のシミュレーションなどもして検討していましたね。ただ、何より院長が一人で、診療だけではなく、経営・労務・経理など全てをこなすのは大変と思いましたし、やったとしてもどこか抜けてしまうのではないかと思いました。

 

院長:はい。無理ですね()私は診療で精一杯です。

 

事務長:そこで事務長は必要だと思いましたし、お金や機密情報も多いので配偶者の自分がやるのが一番と考えました。そして実際にそれが正解だったと思っています。

 

Q10、今後、つちだクリニックをどのようにしていきたいですか?

 

事務長:規模拡大や売上の増加よりも、今来院いただいている患者さんの満足度を上げたいです。これまでに様々なシステム(電子カルテ、自動釣銭機、予約システムなど)も入れ替えましたので、何かを変更や投資をしていくというよりも、予約制でしっかりとお一人お一人に時間を割いていく方針です。

 

院長:今後も患者と会話・対話することを大事にしていきたいです。いろんな事情の患者さんがいて、その人との会話の中で患者さんの困っていることのお手伝いをしたいというのが、自分の目指す医療なので、それを譲りたくないです。

※受付の様子(家具なども入れ替えて、とてもきれいです)

 

Q11、事業継承を考えている先生方へアドバイスをお願いします。

 

院長:大切なことは2つあると思います。一つ目は実際に現地で見てみること、二つ目はご自身のこだわりと妥協点をはっきりさせることですね。当院が所在する春日部市は主人(事務長)の地元でしたが、それでもクリニックはもちろん、周辺の街並みも何度も見にいきました。書面上のデータだけではなく、自分で見てみないと分からないことが多かったです。

 

院長:そして、人それぞれ開業する際に理想があると思いますが、継承の場合は新規開業と異なり、理想をたくさん挙げても、キリがないです。もし全てにこだわるのであれば、新規開業のほうが良いと思います。あとは、継承をした後に少しずつ理想に近づけていけばよいと思います。皆さまが目指す医療を実現できるように応援しております。

 

以上

 

 

金子 隆一(かねこ りゅういち)

(株)G.C FACTORY 代表取締役

経歴:

国内大手製薬会社MR、医療系コンサルティングファーム「(株)メディヴァ」、「(株)メディカルノート」コンサルティング事業部責任者を経て、2020年4月、(株)G.CFACTORY設立、現在に至る。医療系M&A、新規開業支援、運営支援において実績多数。

実績・経験:

・開業支援(約50件)、医療機関M&A(約40件)、医療法人の事務長として運営を3年間経験

・複数の金融機関、上場企業におけるM&A業務顧問に就任

・大規模在宅支援診療所の業務運営の設計及び実行責任者を兼任