G.C FACTORY編集部

M&A

【歯科業界のM&A】売り手・買い手のメリットとM&Aの基本的な流れ

目次

✓はじめに

✓歯科医院経営の現状と広がる格差

✓M&Aが売り手・買い手にメリットをもたらす

✓M&Aの基本的な流れを知る

✓「廃業」は最後の選択肢

 

 

はじめに

歯科業界では近年、M&Aの需要が非常に高まっています。M&Aは売り手・買い手の双方にメリットがあります。そこで、この記事では歯科業界の最新動向を解説し、M&Aのモデルケースや導入の基本的な流れを解説します。現状の歯科医院の廃業・M&A取捨選択で迷われている方、M&Aによる分院展開をお考えの方はぜひご一読ください。

 

歯科医院経営の現状と広がる格差

歯科診療所は「コンビニより多い」とよく言われます。厚生労働省の「医療施設(動態)調査・病院報告の概況:Ⅰ・医療施設調査(令和元年)」によると、すべての診療科を含めた一般診療所の数が10万2,616施設。これに対して、歯科診療所は過半数の6万8,500施設。他の診療科と比べて厳しい競争にさらされていることがわかります。このような背景から、開業したものの、軌道に乗るまでに苦労するケースは少なくありません。開業後数年経っても目標の患者数に届かず、赤字続きで、開業前の貯金でなんとか経費をまかなっているという歯科医院も少なくありません。その一方で、自費診療に注力して大きな成果をあげ、積極的に分院展開する歯科医院も多々あります。このように、歯科医院の経営は、以前と比べて格差が広がっている状況にあります。

 

M&Aが売り手・買い手にメリットをもたらす

経営格差が広がると同時に、増加しているのがM&Aです。M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、売却・買収で事業や法人を1つに統合することをいいます。続いて、売り手・買い手のモデルケースとメリットをみていきましょう。

 

≪売り手のモデルケースとメリット≫

売却を考えるのは、たとえば次のようなケースです。

歯科医院経営を続けてきた院長は、高齢になり、そろそろ勇退を考え始めました。歯科医師になったご子息に医院を引き継ぎたいと考えていましたが、歯科業界の開業の厳しさから、ご子息は勤務医として働く道を選びました。このようなケースでは、廃業を考える歯科医師も多いことでしょう。しかし、M&Aで第三者に歯科医院を売却できれば、長年勤めてくれたスタッフの雇用を守ることもできますし、売却益によって勇退後の生活にゆとりをつくることもできることでしょう。開業したものの十分な利益をあげられず、廃業を希望するケースもあります。このような場合、勤務医に戻り、給料から開業時の借入金を返済することとなるでしょう。しかし、M&Aで歯科医院を売却することができれば、売却益で借入金の一部を返済できる可能性があります。そうすれば、勤務医に戻ってからの返済の負担も大きく軽減されるはずです。

 

≪買い手のモデルケースとメリット≫

買収を考えるのは、次のようなケースです。

自費診療中心で大きな利益をあげ、カウンセリングやリコールなどの経営ノウハウを蓄積した歯科医院。患者数が多くさばききれなくなったため、分院展開を考えています。しかし、ゼロから開業するとなると、新しくスタッフを採用したり設備投資をしたりと、時間も労力もかかります。このような時に、スタッフも医療機器もすでにそろった状態にある歯科医院をM&Aで買収することができれば、すぐにでも分院をスタートできます。開業にかかる労力とコストを削減できるのです。また、「一国一城の主になりたい」と開業を考えているものの、勤務医の状態でゼロから開業するのはリスクが高いと考えている若い歯科医師もいらっしゃることでしょう。M&Aですでに患者様のいる歯科医院を買収できれば、患者数を見積もることができ、事業計画も立てやすくなります。まったく未知の状態ではなく、現実的なシミュレーションをしたのちに院長になるという意思決定ができます。

 

M&Aの基本的な流れを知る

仲介会社を介した場合のM&Aは、基本的に次のような流れで進んでいきます。

 

1.M&A仲介会社に相談、仲介契約を締結

2.ノンネーム(医院が特定されるような具体的な情報は記載しない)で売り手・買い手候補先探し

3.条件が合えばネームクリア(情報開示)し、医院情報を交換

4.トップ面談

5.条件が合えば基本合意書締結

6.買収監査(デューデリジェンス)

7.最終譲渡契約書締結

8.クロージング

 

M&A仲介会社を選ぶ時は、歯科医院のM&A事例を持つM&A仲介会社を選ぶと安心です。また、M&Aクロージング後の支援にも力を入れている会社を選びましょう。

 

「廃業」は最後の選択肢

「後継者がいない=廃業」「経営がうまくいかない=廃業」と考える歯科医師は少なくありません。しかし、廃業する場合、スタッフに退職金を支払ったり、医療機器を処分したりと、多額の廃業費用がかかるケースが少なくありません。また、保健所や税務署でさまざまな手続きが必要となり、手間もかかります。廃業はあくまで最後の選択肢として考え、早めのM&Aを見据えて仲介会社に相談することが大切です。

 

弊社では、M&Aのご相談について無料で承っております。クリニックM&Aに精通した専門家が誠実に対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。

 

執筆者:金子 隆一(かねこ りゅういち)

(株)G.C FACTORY 代表取締役

 

経歴:

国内大手製薬会社MR、医療系コンサルティングファーム「(株)メディヴァ」、「(株)メディカルノート」コンサルティング事業部責任者を経て、2020年4月、(株)G.CFACTORY設立、現在に至る。医療系M&A、新規開業支援、運営支援において実績多数。

 

実績・経験:

・開業支援(約50件)、医療機関M&A(約40件)、医療法人の事務長として運営を3年間経験

・複数の金融機関、上場企業におけるM&A業務顧問に就任

・大規模在宅支援診療所の業務運営の設計及び実行責任者を兼任