G.C FACTORY編集部

M&A(全般)

医療法人・個人事業のM&Aクロージング|手順と注意点とは?

目次

I.はじめに

II.M&Aのクロージングとは

Ⅲ.なぜ最終契約とクロージングを分けるのか

Ⅳ.医療法人のM&Aクロージング手続き

Ⅴ.個人事業のM&Aクロージング手続き

Ⅵ.M&Aのクロージングの注意点

 

Ⅰ. はじめに

M&Aの最後の仕上げともいえるクロージング手続き。医療機関のM&Aでは、医療法人か個人事業かによって、クロージングの内容が変わります。それぞれの手続きの内容や注意点を具体的に解説します。またそもそもなぜクロージング手続きが必要なのかについても解説をします。医療機関のM&Aを検討中の方はぜひ参考にしてください。

 

 

Ⅱ. M&Aのクロージングとは

クロージングとは、M&Aの最終譲渡契約を結んだあとの手続きのことです。クロージングでは、譲渡対価の支払いや社員・役員の変更手続きなどを行うことが多いです。

M&Aは、一般的に次のような流れで進めます。クロージングはM&Aで行う最後の手続きです。案件によっては、最終契約書締結からクロージングまでには数ヵ月かかることもあります。

 

参考:MAの流れ(弊社ホームページ サービスページ中段)
https://ma.gcf.co.jp/service/

 

一般的には、最終譲渡契約書を締結したあとの、譲渡対価の支払いや、諸手続きをクロージングと総称することが多いですが、最終譲渡契約書もクロージングに含めるケース(最終契約後即クロージングとなる場合)もあります。

 

 

Ⅲ.  なぜ最終契約とクロージングを分けるのか

そもそも、なぜ最終契約とクロージングの実施時期を分けるのかといいますと、最終契約書を締結してから、譲渡契約書にあるそれぞれの義務(社員総会を開催したり、社員や役員の全員から辞任届を集めたりなど)を実行したり、準備をすることに時間がかかることが多々あるためです。中には最終契約即クロージングとすることもあるのですが、双方の契約後の義務が多くある場合は、期間を空けることが多いです。

 

また、例えば「スタッフに譲渡を説明して過半数が退職せずに残ること」などが譲渡実行の条件となっている場合なども、売り手としては最終契約を締結していないのにスタッフに説明をすることを望まない場合が多く、最終契約締結⇒スタッフ面談⇒クロージングとする必要があります。このように譲渡の条件の面でどうしても最終契約とクロージングを分ける必要がある場合もあります。

 

Ⅳ. 医療法人のM&Aクロージング手続き

 

M&Aクロージング手続きは、案件毎によって異なりますが、大きく分けると医療法人の法人譲渡なのか、事業譲渡なのかで異なります。まず、医療法人の法人譲渡のM&Aクロージング手続きについて詳しく解説します。

 

●クロージング手続きの内容と手順(法人譲渡の場合) 

医療法人のクロージング手続きは、一般的には次のような流れで進めることが多いです。案件や状況によって、手順が前後することもあります。

 

<事前準備>

1.買い手から売り手へ、譲渡対価の前金の支払い(前金の支払いの設定がある場合)を実行する。

2.売り手は臨時社員総会議事録、社員・役員の辞任届、社員・役員の印鑑証明書等を用意する。

3.買い手は新たに就任する社員・役員の就任承諾書、社員・役員の印鑑証明書、役員の履歴書、新理事長や院長の医師免許証の写し、新役員の経歴書等を用意する。

4.買い手は融資を受ける。(譲渡対価を金融機関の融資を受けて支払う場合)

5.スタッフや不動産オーナーにM&Aの説明を実施する。


<クロージング当日の実行>

6.買い手から売り手に対して、譲渡対価の支払い(決済)を実行する。

7.売り手から買い手に対して、重要物品(用意した議事録や退任届、医療法人の実印、医療法人の銀行印、医療法人の通帳、キャッシュカード、クレジットカード、鍵等)を引き渡す。

 

<事後手続き>

8.患者さんにM&Aを告知する。

9.取引先に理事長や管理者が変わったことを連絡する。

 

Ⅴ. 個人事業のM&Aクロージング手続き

続いては、個人事業のM&Aクロージング手続きについて詳しく解説します。

 

●クロージング手続きの内容と手順

個人事業のクロージング手続きは、一般的には次のような流れで進めます。こちらも状況によって、手順が前後することもあります。

 

<事前準備>

1.買い手から売り手へ、譲渡対価の前金の支払い(前金の支払いの設定がある場合)を実行する。

2.買い手は融資を受ける。(譲渡対価を金融機関の融資を受けて支払う場合)

 

<クロージング当日>

3.買い手から売り手に譲渡対価の支払いをする。

4.売り手は医院の廃止届、保険医療機関廃止届、エックス線装置廃止届等を渡す。

 

<スタッフ、患者説明>

5.スタッフにM&Aの説明会を実施する。

6.患者にM&Aを告知する。

 

<行政手続き>

7.買い手は、預かった医院の廃止届、保険医療機関廃止届、エックス線装置廃止届等と開設届を保健所、厚生局などに提出する

8.不動産の登記を行う(不動産の売買も伴った場合)

 

<契約締結>

9.スタッフと新たに雇用契約を結ぶ。

10.取引先に院長が変わったことを連絡し、不動産賃貸契約やリース契約等を新たに締結する。

 

●個人事業のM&Aスキーム

個人事業の場合、出資持分等の概念がなく、医療法人のように事業承継を実施することができません。ただし、旧医院の廃止と新医院の開設を同時並行で進めることで、M&Aを実行することが可能です。

 

個人事業では、資産も負債もすべて個人に帰属します。そのため、不動産や医療機器等の資産については、売り手と買い手の間で売買するものを合意して、売買契約を結びます。また、雇用契約や不動産賃貸契約、リース契約等もすべて個人に帰属することから、新たに買い手と契約先との間で新規契約を結ぶ必要があります。

 

Ⅵ. M&Aのクロージングの注意点

クロージング手続きに漏れや不足があると、M&A後の医院経営に支障をきたす危険性があります。最後まで気を抜かず、クロージングを成功させましょう。

 

特に行政手続きや登記手続きは煩雑で誤りがあると深刻なトラブルになるリスクがあるため、信頼できる専門家に依頼するとともに、クロージングの時点でその後のスケジュールや役割分担についてもしっかりと話しておく必要があります。

 

また、スタッフや患者、取引先への説明に関しては、不安感を与えることがないよう十分な配慮をすることが大切です。スタッフへの説明では、質疑応答の時間を設けてスタッフの不安を解消するのも効果的です。患者への説明では、旧院長が新院長を紹介する場を設けられると、信頼感が増してスムーズです。

 

クロージングに限らず、M&A全体にいえることですが、売り手・買い手双方の利害を調整しながら、計画的に手続きを進めていかなければなりません。医療機関の場合、行政手続きが加わることから、さらに複雑化しがちです。M&A仲介会社や税理士、司法書士等の専門家を活用しながら、不備がないよう慎重に手続きを進めてください。

 

㈱G.C FACTORY コンサルティング