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2020.10.05

開業医の年収・お金事情。気になる勤務医との違い

目次:

1.序文

2.開業医と勤務医の違い

3.開業医の平均年収

4.実際に稼げている開業医

5.まとめ

 

1.序文

新規開業を検討する理由は多岐に渡るでしょう。例えば、「自身の理想の医療を行いたい」「生活の場所や時間を自分で設定したい」などです。その中で「勤務医時代よりも年収を増やしたい」というようなお金に関するものも当然あると思います。本稿では、開業医の年収事情に関して勤務医との比較も交えながら解説をします。

 

2.開業医と勤務医の違い

まず、そもそもの開業医と勤務医の違いについてです。当然、自身が事業主であるのが開業医、雇用されているのが勤務ということになりますが、その違いを簡単にまとめたものが以下の表です。

まず、所得ですが、開業医は事業の収益(保険診療+自費診療)から、費用(原価、人件費、経費等)を引いた事業所得に対して所得税が課税されます。勤務医の場合は、法人からの給与が所得になります。この際に給与の場合は、2020年から給与所得控除として最大で195万円が控除された金額に所得税が課税されます。また社会保険・労働保険に関しては個人事業主である開業医は事業主であるため原則加入することができませんが、勤務医は当然加入となります。(医療法人又は5名以上職員がいる医療機関の場合)

こういった面を見ると勤務医のほうが良いように見えます。一方で、開業医は自身で組織を思うように運営することができ、収入面でも頑張った分がそのまま反映します。また事業にかかる支出を経費にしたり、その費用の使い方も自身の裁量で決めたりすることができます。こういう面を考えると一概にどちらが良いというよりは、ご自身がどちらに向いているかという点が重要となります。

 

3.開業医の平均年収

では、その開業医の平均年収について解説をします。

 

①統計データ

まずは、統計データです。

以下は、令和元年に実施をされた医療経済実態調査の各診療科目別の損益差額(個人診療所入院診療収益なし)です。

 

個人診療所 各診療科目別(入院収益なし)損益差額 単位:(千円)

出典:中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 - 令和元年 実施 - p.149~151」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/22_houkoku_iryoukikan.pdf

 

全体平均で約2,374万円の報酬を得ていることとなり、これは勤務医の平均年収1,696万円(平成29年 厚生労働省 賃金構造基本統計)と比較して多いです。

 

 

②統計データに拘り過ぎてはいけない

もちろん、上記の数字をあまり参考にし過ぎる必要はありません。あくまでも平均であり、実際には勤務医の報酬以上に、クリニックによるばらつきが見られます。また経営が軌道に乗っているクリニックは医療法人成りをしている可能性が高いです。医療法人の場合は、経営者の報酬も経費になり、その他の節税を行っているため、こういった統計では正確な利益(代表の方の所得)を計るのは難しいです。

 

4.実際に稼げている開業医

それでは、実際の現場においてしっかりと稼げているのはどんなクリニックかについて記載をします。「稼げている」と一口に言ってもその数字から得られるイメージは人によって異なります。そこで実際に数字をご覧ください。こちらはとあるクリニックの月の実績を参照して弊社(株式会社G.C FACTORY)で仮に作成した実績です。想定としては「都内」「テナント(35坪 賃料50万円)」「内科」「週休2日制」のクリニックとしています。

 

例)内科(テナント開業)クリニックの損益計算書

出典:株式会社G.C FACTORY

 

ご覧の通り、個人診療所の平均の約2,300万円~約2,400万円の報酬を得るためにはこちらのクリニックの前提だと1日40名(パターン①)ほど、勤務医の平均の約1,600万円~約1,700万円を得るためには1日35名(パターン②)ほどの診療が必要です。

ただ、この数字を得るためのアプローチは患者数を満たすことだけではありません。こういった数字をベンチマークとして、以下のような検討をしていきます。

 

● 患者数は届かないので、単価の高い疾患や自由診療に力を入れて単価を例えば7,000円にする

● 単価もなかなか厳しいので、まずは休日を少なくしたり診療時間を長くしたりして売上を増やす

● 賃料が高くても視認性が高い物件にして、賃料の増加を1日の患者数増加で補う

● 広告宣伝費を上げて、増える費用の分を1日の患者数で補う

● なるべく自動化の仕組みを整えて、スタッフを減らして経費を浮かす

 

上記のように、「利益=売上-費用」「売上=単価×患者数×診療日数」「費用=原価+販売管理費」といったように分解をして考え、一つ一つ利益を増やすための仮説検証を開業前はもちろん、開業後も行います。これがしっかりできている(何かしら利益が上がる裏付けがある)先生が結果的に平均よりも高い利益を得ています。

 

5.まとめ

いかがでしょうか。入職時に概ね報酬が決まる勤務医と異なり、なかなかご自身の報酬が見えてこないのが開業医です。一方で努力と工夫で勤務医の数倍の報酬を得られる可能性も持っています。